無人で服を作れるロボットが登場!? 途上国の仕事はどうなる

2017年2月9日

近年はH&M、ZARA、ユニクロといった低価格で服を買える「ファストファッション」が流行りになっています。もちろんあれだけ安く提供できる理由には「裏」があって、カンボジアなどの途上国において、従業員がタダ同然で働かされている実態があります(参考: 真の代償)。あらゆる産業において機械化が進む中で、服を縫い合わせるという作業はとても繊細な動きを要するので、今でも人の手を使うことが主流になっているようです。ところが、その常識も遂に過去のものになるかもしれません。

「Sewbo」というシアトルのスタートアップ企業は、世界で初めて人の手を介さずにTシャツを縫い合わせることに成功したそうです(参考: TechCrunch Japan)。これはアパレル製造業において革命的な偉業であることは間違いありません。果たしてこのSewboの技術は何を変えるのでしょうか。

Ads by Google

今後の進歩に期待?

上の動画では、Sewboのロボットが実際にTシャツを作る過程を見ることができます。あらかじめ断裁された生地をロボットアームが吸い上げ、ミシンを使って縫合していきます。完成した服のようなものは、お湯に浸すことで柔らかくなるようです。実際にこの動画のTシャツがそのまま発売されてもおそらく売れないと思いますが、技術としては非常に画期的なものに思えます。今はまだ実験段階なので、継ぎ目が丸見えで見栄えが悪いなどと野暮なことは言ってはいけません。

では、このSewboの技術は一体どうなっているのでしょうか。創設者である「ジョン・ゾーノ」氏のコメントは以下の通りです。(参考: TechCrunch Japan)

「私たちは、水に溶ける熱可塑性プラスチックを使って、一時的に生地を硬めることにしたんです。既製品の産業用ロボットと、プラスチックやダンボール、金属製のシートを扱うためのツールを組合せることで、硬くなった生地を正確に裁つことができ、生地も裁断後に勝手に成型するようになっているんです。その後は、生地を縫い合わせてお湯で洗い流せば、服が完成します」

このように、ロボットは柔らかい生地の扱いが苦手なので、あえて生地を硬くすることで断裁や縫合を可能にしたようです。この技術をさらに発展させていけば、数年後には今私たちが着ているようなデザインの服をロボットが縫合することも可能になるかもしれませんね。

Ads by Google

やがて途上国労働者は不要になる?


もちろんロボットが進化して、無人製造が可能になっていけば、わざわざ人件費の安い途上国に工場を置く必要もなくなります。すると、当然これまで途上国で服を作っていた労働者たちの仕事はなくなってしまいます。それは劣悪なブラック労働環境から彼らが解放されるという良い面と同時に、彼らの仕事がなくなって食いっぱぐれるかもしれないという悪い面もあるのです。今後あらゆる方面でロボットによる無人化が進んでいけば、このような問題はアパレル製造業以外においても顕在化していくのではないでしょうか。先進国の仕事は途上国に奪われ、その次はロボットが途上国の仕事を奪っていくのかもしれませんね。

Ads by Google

最後に


これまでも資本主義は人件費の安さを追求してきました。90年代から始まった経済のグローバル化は、先進国の工場をより人件費の安い途上国に移すことでモノの価格を下げることに成功したのです。そしてこれからは、ロボットなどのテクノロジーを使った「工場の無人化」がより進んでいくのかもしれません。人件費の安さを追求した結果、人件費のかからない無人化という結論に至るのはごく自然なことです(機械導入費はかかりますが)。そして企業は人件費を削った分だけ、より利益を得ることができるようになっていきます。このように人々の労働が消えていき、企業の利益は増えていく、そうなると、これから世界経済はどうなっていくのでしょうか。今の資本主義制度がいったいどこまで持続可能なのか、そろそろ真剣に考え始めた方がいいのかもしれませんね。

Ads by Google