今の日本人には不満や怒りを発散させる矛先がない?

2017年1月31日
[最終更新日]2017年02月19

最近のイギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領の当選、これらの背景にはある共通点があります。それは、「移民・難民に対する不満」です。そしてこの不満はこの2国間に留まらず、フランス、ドイツ、イタリアまで波及し、爆発寸前まできているようです。欧州では2000年代末から経済危機問題や失業率増加の問題が顕在化していて、国民の抱く不満の矛先は移民や難民に向けられています。欧米の人たちは、あらゆる原因はやつら(移民・難民)にあって、やつらを追放すれば今の問題は解決すると信じています。

では日本ではどうでしょうか。日本でも非正規雇用や長時間労働の増加など、いわゆるブラック企業問題が年々深刻化してます。仕事そのものがない欧米と違って、「一応仕事はあるけど、どこもかしこもブラックばかり」という問題です。ではこの問題の原因は誰にあるなでしょうか。その答えは「誰のせいでもない」です。

欧米と違って日本には移民や難民が大量に流入していることもありませんし、少子高齢社会も雇用条件の悪化とは因果関係がありません。つまり特定の人物や人種、団体などの外的な要因によってブラック企業が増えているわけでなく、強いて言えば経済のグローバル化によって価格競争が激しくなったことや、日本人が持つ労働美徳の文化が裏目に出た結果によるものです。つまり、日本人には不満や怒りをぶつける具体的な矛先が存在しないのです。

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ブラック企業問題は経営者のせい?


「ブラック企業問題は経営者に責任があるのでは?」と思う人も多いと思います。実際に経営者に対してこう言うと、お決まりのセリフで返されます。「企業間の競争に勝つためには人件費を抑えて利益を増やさなければならない。」「甘いことを言っていては他社に勝てない。」と言った具合にです。この思想が日本全体に蔓延してしまっているので、もう取り返しがつきません。まさにブラック思想のバイオハザードです。さらに若者の平均給与が年々下がってきていることも、長時間労働の問題に対しても、経営者は先ほどと同様の言い分のようです。ここまでブラック思想が転移してしまってはもう手遅れです。例えばユニクロ一社を業務停止にしたところで、問題は何も解決しないでしょう。

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日本の問題は自分たちのせい?


日本に蔓延するどうしようもない問題たちの原因を個人に押し付けようとする人がいますが、それはお門違いです。決してあなたが日本の社会問題を引き起こしたわけではありません。よく「ホワイト企業に就職できなかったお前が悪い」、「嫌なら辞めろ」などと言われすぎて、「自分が悪いのかもしれない」と思い込む人がいますが、あなたに罪は全くありません。全く気にする必要もありませんし、精神を病む必要もありません。

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誰のせいでもない。だから協力し合うべき。


今の日本が苦しいのは特定の人物や人種、団体のせいではありません。強いていうならば自然の摂理です。今の日本が抱えている問題はある意味自然災害の一種なのです。地震や津波があったとき、私たちは被害を誰かのせいにするでしょうか?もちろん誰のせいでもありませんよね。そしてその時にすべきことは、耐震強度をあげたり、避難経路をあらかじめ確保するといった「対策と改善」です。ブラック企業が多く生まれてしまったなら、間違ってブラック企業にはいらないように対策を取らなければいけませんし、そもそも今後ブラック企業が生まれてこないようにしていかなければなりません。スラム街に行けば犯罪の被害に遭うリスクが高まるのと同じように、そもそもブラック企業に近づかないことが得策なのです。平気で非人道的な行為を行えるブラック経営者の思想は、スラム街のギャングと同じです。そんな彼らとまともな交渉ができるとは考えない方がいいでしょう。

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最後に


おそらく欧米ではこれからますます移民・難民に対する風当たりが強くなっていくと思います。しかし彼らを全員追い出したところで状況は改善しないと思います。当然ながらヨーロッパの経済危機問題の原因は、移民や難民がすべて悪いわけではないからです。これはアメリカの雇用問題も同様です。トランプ大統領はメキシコ移民を悪者にして追い出し、アメリカに工場を作りまくって雇用を増やそうとしていますが、それによる人件費の高騰は避けられない問題です。途上国による生産と同等レベルの価格を維持するためには、日本のように人件費削減を進めるしかありません。今後アメリカにもブラック企業問題が頻発する可能性があります。何か深刻な問題が生じたとき、私たちはつい特定の誰かや弱者に対して八つ当たりをするといったネガティブな行動を取りがちです。そうではなく、どうすれば問題を解決、改善できるかというポジティブな行動をとるべきなのです。私たち抱いている不満や怒りは、誰かに対してではなく問題そのもののに対してぶつけるべきなのかもしれません。

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